2025-04-06
かぐや姫
3人の娘を育てた母の小さな夢
私たち三姉妹の母には、密かな夢がありました。
せっかく娘を3人も産んだのだから
娘たちをもらいにくる男たちに条件を突きつけること。
まるで昔話の**“かぐや姫”のように**――
「龍の首にかかった珠を取ってこい」だとか
「火鼠の皮衣を探してこい」だとか。
そんな無理難題を吹っかけて、
我が娘に値打ちをもたせたかった。
現実は“晩婚3姉妹”…!?
ですが現実は、母の理想とはかけ離れていました。
三姉妹ともに**いわゆる“晩婚”**で、
実際に「娘さんをください」と挨拶に来ると…。
ついには母も観念して、こう言っていました。
「どうぞお持ち帰りください、返品はお断りで」
なんとも潔い“ご成婚の言葉”です。
かぐや姫ではなく桃太郎の家来!?
私たち三姉妹は、母の夢のような姫君にはなれませんでした。
どちらかといえば――
きび団子ひとつで鬼退治に出かけてしまう、
きじ・さる・いぬ。
戦う気概はあるけれど、
守られるお姫様ではなかったのです。
母の夢は、少し切なくも温かい
そんな母の夢がかなうことはなかったけれど、
それでも「娘に幸せになってほしい」という願いが込められていたことは、
大人になった今ならよく分かります。
母上さま、ごめんなさい。
でも私たち、私たちなりの人生をちゃんと歩いています。
夢見たかぐや姫には届かなかったけれど、
娘たちはちゃんと、自分の足で未来に進んでいます。