一年生
4月は“新しい出会い”の季節
春になると、通勤電車でも街角でも、初々しい新人さんを見かけるようになります。
スーツ姿がまだぎこちない彼らを見ていると、ふと私の社会人1年目を思い出します。
初めての職場は“進学校の事務室”
私が最初に働いたのは、県立高校の事務室でした。
しかも、進学率100%を誇る有名な進学校。
仕事も、生徒も、保護者も、なかなかに個性豊かでした。
例えば――
・「インコの具合が悪い」と、生徒の欠席連絡を入れてくるお母さん
・「忘れ物」と言って、テニスラケットや筆箱、果ては検尿まで届けるお父さん
・「お弁当のたれを忘れた」と、昼前に駆け込んでくるおばあちゃんも…
志望校合格のために親も全力サポート。その姿勢に圧倒されたのを覚えています。
職員100人、全員に話しかけて覚えた日々
事務室職員としてまず私に与えられたミッションは、
「先生方の顔と名前、教科、所属部活まで覚えること」。
卒業アルバムの写真を見て覚えることもしましたが、
せっかくなので私は**“全員に話しかけて覚える”作戦**を選択。
最初は勇気がいりましたが、
「話して覚える方が早いし、印象にも残る」と思って実行。
結果的に、この行動が多くの先生方との距離を一気に縮めてくれました。
もちろん失敗もたくさん…
もちろん、失敗もありました。
通学証明書の発行日を間違えて、生徒さんが駅員さんに怒られてしまったり
試験中に校内放送を入れてしまい、教頭先生が全力疾走で事務室に飛び込んできたり…
でも、どの失敗も笑って受け止めてくれる先生方に支えられ、私は少しずつ社会人として成長していきました。
契約は1年間。最後にまさかの“胴上げ”
1年契約の臨時職員という立場だったので、あっという間にお別れの時期がやってきました。
送別会では、なんと人生初の胴上げ。
スナックのようなお店で、天井すれすれまで飛ばされてしまい…
タイトスカートだったので、ヒヤヒヤと恥ずかしさでいっぱい。
でも、そんなハプニングすらも楽しく思えるくらい、素敵な1年でした。
社会人1年目は“学生の延長”だったけど…
あの1年間は、社会人というより学生の延長のような感覚でした。
それでも、たくさんの人に支えられ、笑って、失敗して、学んで――
確実に人生の土台になった時間です。
今、新年度を迎えて不安な新人さんへ。
誰にでも初めての1年目があります。
たくさん話して、たくさん失敗して、素敵なスタートを切ってくださいね。