愛らしく
父が私を特別に可愛がってくれた理由
私は女の子の中で一番下だったせいか、父は私をとても可愛がってくれました。
出かけようとすれば、もう父の車のエンジンがかかっていて、
寒い日も暑い日も、どこへ行くにも送り迎え。
今思えば、父の深い愛情表現だったのかもしれません。
冬の夜に姉が感じた“格差”
そんなある冬の夜。
姉が外出しようとすると、父は懐中電灯とカイロを手渡しながら、
「気をつけて行ってきいや」と声をかけたそうです。
傍から見れば十分優しい父の行動ですが、
姉にとっては私との**“扱いの差”を感じる瞬間**だったのでしょう。
「なんであんたばっかり特別なん」と、よく愚痴をこぼしていました。
愛情はあるけど、表現が違う
父は姉のことももちろん愛していたはずです。
たとえば姉が体調を崩したときには、おかゆを作ってくれることもありました。
でも、姉は「うどんが良かった」とポツリ。
わがままに聞こえるかもしれませんが、**本当に欲しかったのは“気持ちの通じる愛”**だったのかもしれません。
床に転がった姉の靴下を黙って拾う父。
それが父なりの愛情表現だったのでしょうが、
姉には届きにくかったのかもしれません。
愛されるためには、愛らしさも必要?
人に愛されるためには、愛らしさや素直さが必要なのかもしれない。
そんなことを、父の振る舞いや姉の反応を見ながら考えることが増えました。
私は妹気質で、自然と甘え上手になったのかもしれません。
愛情を注いでもらうには、「可愛がられ上手」であることも
意外と大切な要素なのだと、今では感じています。
父の無償の愛と、姉妹の関係から学んだこと
父は、どの娘にも変わらぬ愛情を持っていた。
けれども、その伝え方や、娘たちが受け取る形には違いがあった。
愛情とは「ある」だけでなく「伝え方」も重要。
そして、愛されたいと願うなら、
時に素直になって、愛される側の工夫も必要なのかもしれません。