愛される
■父が最期にかけた優しいひと言
父が亡くなるほんの数時間前、病院のベッドの上で
少し疲れた様子の母に向かって、穏やかな声で言いました。
「おかあ寝え、わしが見といたるから」
看病しているのは私やで言わんばかりに、
母は笑いました。
でも、あの瞬間の父のまなざしと声には、深い愛情と労わりが込められていたのです。
■夫婦の絆は、人生の最期まで
父はいつも母を気遣っていました。
日常の小さな場面でも、いつも母を立て、支え、思いやる人でした。
そんな父を見送りながら、母はぽつりとこう言ったのです。
「生まれ変わっても、またお父さんと一緒になる」
63歳の女性が口にする言葉として本当に素敵で、
それは、長年連れ添った夫婦の
揺るぎない絆と愛情の証だったのだと思います。
■理想の夫婦に憧れてきた私
私はずっと思っていました。
父と母のような関係に、いつか自分もなりたい。
ただ一緒にいるだけでなく、お互いを思いやり、支え合える関係。
恋愛や結婚に対して、きっとどこかで「そんな人に出会いたい」と望んでいたのは、
心のどこかに、両親の姿があったからでしょう。
■「生涯愛される女性」であるために
結婚や恋愛に限らず、人に愛されるというのは簡単なことではありません。
でも父のように、どんなときも優しさと誠実さを忘れず、
母のように、相手を信じて穏やかに寄り添うことができれば、
少しずつでも近づいていけるのかもしれません。
今の私は、「生涯愛される女性でありたい」と思っています。
それは、誰かに依存するという意味ではなく、
誰かにとって、ずっと大切にしたいと思ってもらえるような人でありたいという願いです。