断ったらあかん
■母の教え「断ったらあかん」の意味
私が子どもの頃、母から繰り返し教えられたことがあります。
それは、「人からの好意を断ったらあかんよ」ということ。
例えば、近所の人から「みかん、10個持っていって」と言われたとします。
もし家にすでに一箱あっても、母は「もらっとき」と言いました。
なぜなら、断ってしまうと、相手はもう二度と“あげよう”と思わなくなるから。
それは、単なる“物のやり取り”ではなく、“気持ちのやり取り”なのだと教わったのです。
■遠慮も相手にとっては「拒絶」に聞こえる
日本人は「遠慮するのが美徳」と思いがちですが、それが逆効果になることもあります。
相手の好意を「いえいえ、結構です」と断ってしまうと、受け取った側は“気遣い”のつもりでも——
相手にとっては「拒絶された」ように感じることがあるのです。
特に年配の方や地域のコミュニティでは、「もらってくれることがうれしい」と感じる人が多いもの。
だからこそ、遠慮はときに人間関係の壁を作ってしまうこともあります。
■褒め言葉やプレゼントは“気持ち”の贈り物
人からの贈り物は、物だけではありません。
「その服、似合ってるね」
「いつも明るくて元気もらえるよ」
そんなちょっとした褒め言葉も、相手からの“贈り物”です。
それに対して、「そんなことないです」と否定するのではなく——
「ありがとう」と素直に受け取ることが、心のやり取りを豊かにします。
■受け取ることで築ける信頼関係
贈り物でも、言葉でも。
相手が「あなたに何かをあげたい」と思ってくれたその気持ちを、大切に受け止める。
それが、人間関係を長く温かく続けるコツなのかもしれません。
“ありがとう”の一言があるだけで、人とのつながりはぐっと深くなります。
相手の好意は、素直に受け取ってこそ、次へとつながっていくのです。
■人の気持ちを大切にすることで人間関係を育てる
“断らない”ことは、“物欲しがり”になることではありません。
むしろそれは、相手の気持ちに寄り添い、絆を育てるための大切な姿勢です。
「ありがとう」と受け取ることで、思いやりを循環させてくれる。
母の教えが、今の私の人間関係を支えてくれていると感じています。